この記事を読んでほしい人
- 法人設立に最低何人必要なのか、法人格ごとに一覧で確かめたい人
- 一人や二人で始めたい、あるいは仲間を集めている最中で、人数の条件を満たせるか不安な人
- 社員、理事、監事、評議員といった役職の数え方が混ざってしまい、名簿の作り方に迷っている人
法人設立の人数を調べると、「1人でできる」という説明と「10人必要」という説明が同時に見つかります。矛盾しているのではなく、法人格が違うか、数えている対象が違うのです。この記事は、設立に関わる人数を3つの数え方に分け、法人格ごとの最低人数を条文にもとづいて並べます。
人数は、法人設立の手続きに入る前に最も確かめやすく、最も後戻りしにくい条件です。名簿が埋まってから法人格を変えるのは大変なので、先に人数から候補を絞る使い方をおすすめします。役員になれる人の条件は法人設立 デメリットのページで、法人格のメリットは法人設立 メリットのページで確認できます。
標本 Ⅰ法人設立の人数は3つの数え方がある|設立する人・機関に就く人・動く人

「法人設立に何人必要か」という質問には、実は三つの答えがあります。一つ目は、設立の手続きに関わる人数です。株式会社なら発起人、一般社団法人なら設立時社員、一般財団法人なら設立者がこれにあたります。二つ目は、法人が成立したあとに機関として置かなければならない人数で、取締役、理事、監事、評議員などです。三つ目は、実際に仕事を回す人数で、これは法律ではなく活動の量で決まります。

法務省の一般社団法人・一般財団法人制度のQ&Aは、一般社団法人の設立に当たって2人以上の社員が必要であることなど、法人格ごとの人数の前提を示しています。条文の最低人数を満たしても、それだけで運営が回るとは限りません。法律の最低人数は「その法人格が成立するための下限」であって、「ちょうどよい人数」ではないからです。
一人や二人で始められる法人格の整理は、子記事の1人・2人で選べる法人格に、役職の兼任を含めた数え方は法人設立の人数をどう数えるかにまとめました。この記事は、その入口として法人格の全体を一望する位置づけです。
実際の相談では、仲間が3人しかいないのに社員10人が必要な法人格を前提に話が進んでいたり、反対に、少人数で足りる法人格を選べるのに、無理に大人数を集めようとしていたりする場面があります。どちらも、人数の数え方を最初にそろえておけば避けられます。法人設立の準備会では、設立に関わる人、機関に就く人、動く人の三列の表を作り、名前を書き込みながら話し合うと、足りない欄がはっきりします。
人数は法人格を選ぶ最初の物差し
社員が何人集められるかで、候補の法人格は大きく絞られます。先に名簿を作ってから、条件に合う法人格を選びましょう。
出典一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A(法務省・確認日 2026年10月11日)
標本 Ⅱ株式会社と合同会社は1人から|取締役会を置くと3人に増える

会社の人数は、法人設立の中で最も軽い部類です。会社法第326条第1項は、株式会社には1人又は2人以上の取締役を置かなければならないと定めています。設立の手続きに関わる発起人についても、各発起人が株式を引き受けるという構造ですから、発起人1人と取締役1人で成り立ちます。合同会社は、その社員になろうとする者が定款を作成して設立するもので(会社法第575条)、社員1人から始められます。
ただし、取締役会を置くと人数が変わります。会社法第331条第5項は、取締役会設置会社の取締役を3人以上と定め、第327条第2項は取締役会設置会社に監査役を置くことを原則として求めています。公開会社など一定の株式会社は取締役会を置かなければならないので(第327条第1項)、規模を広げる前提なら、人数の見通しも立てておきます。
なお、株式会社の作り方や資本金の額、合同会社の作り方の詳細は、姉妹サイト(株式会社・資本金、合同会社)の担当です。当図鑑では、ほかの法人格と比べたときの人数の位置づけまでを書いています。比較の観点は株式会社と合同会社の法人格を比較に、共同で事業をするときの考え方は共同事業に向く会社の選び方にあります。
- 株式会社:発起人1人以上、取締役1人以上(取締役会を置けば取締役3人以上と監査役)
- 合同会社:社員1人以上
- どちらも、役員になれない人の条件(欠格事由)は別に確認する
注意会社の人数が少ないことは、法人設立の手続きが簡単であることを意味しません。人数以外の条件(定款認証の有無、登記)は法人格ごとに異なります。
出典会社法|e-Gov法令検索(デジタル庁 e-Gov・確認日 2026年10月11日)
標本 Ⅲ一般社団法人は社員2人・理事1人から|理事会を置くと理事3人と監事

一般社団法人は、人の集まりに法人格を与える仕組みです。法務省のQ&Aは、設立に当たって2人以上の社員が必要としています。一般法人法第10条は、設立時社員が共同して定款を作成すると定め、第60条第1項は、理事を1人以上置かなければならないとしています。理事と社員は兼ねられるので、理事を兼ねる社員が1人と、もう1人の社員がいれば、人数の上では設立できます。
理事会を置く場合は、第65条第3項により、理事は3人以上でなければなりません。理事会設置一般社団法人は監事を置かなければならず(第61条)、監事は一般社団法人又はその子法人の理事又は使用人を兼ねることができません(第65条第2項)。理事3人と監事1人は兼任で減らせないため、実人数は最低4人になります。

設立後に社員が1人になっても直ちに法人が消えるわけではありませんが、社員が欠けたこと、つまり社員がいなくなることは解散の事由です(第148条第4号)。少人数で始める場合は、社員の入れ替わりと後継者のことも、法人設立の最初の設計に含めます。
条件の組み合わせは、一般社団法人の理事と社員と理事会を置く一般社団法人で詳しく確かめられます。要件全体は法人設立 一般社団法人のページが入口です。
出典一般社団法人及び一般財団法人に関する法律|e-Gov法令検索(デジタル庁 e-Gov・確認日 2026年10月11日)
標本 Ⅳ一般財団法人は評議員3人・理事3人・監事1人|設立者が1人でも運営は複数

一般財団法人は、財産に法人格を与える仕組みです。設立者については、第152条が「設立者が二人以上あるときは、その全員」が定款を作成すると定めており、設立者が1人の場合も想定しています。拠出する財産の価額の合計は300万円を下回ってはならない(第153条第2項)という財産の条件は、金額の条件であって人数の条件ではありません。
人数の条件が重いのは、機関のほうです。一般財団法人は、評議員、評議員会、理事、理事会及び監事を置かなければなりません(第170条第1項)。評議員は3人以上でなければならず(第173条第3項)、評議員は一般財団法人又はその子法人の理事、監事又は使用人を兼ねることができません(同条第2項)。理事会を置く法人として理事は3人以上とされ、監事も置くので、評議員3人・理事3人・監事1人の合わせて7人が、兼任できない前提での最低人数になります。
設立者が1人で財産を出せるとしても、評議員や理事として運営に参加する人を他に探さなければなりません。名前だけの役員で数合わせをすることは、役員の責任や名義貸しの問題を招くため避けるべきです。具体的な注意点は、一般財団法人を支える評議員・理事・監事と一般財団法人の設立者と拠出財産で確認できます。
- 設立者
- 財産を拠出して定款を作る人。1人でも可。法人も設立者になれる
- 評議員
- 3人以上。理事・監事・使用人との兼任はできない
- 理事・監事
- 理事会を置くので理事3人以上、監事1人以上。監事は理事・使用人を兼ねられない
社団と財団のどちらが自分の活動に合うかという選び方は、法人設立 社団と法人設立 財団のページで人と財産の観点から整理しています。
出典一般社団法人及び一般財団法人に関する法律|e-Gov法令検索(デジタル庁 e-Gov・確認日 2026年10月11日)
標本 ⅤNPO法人は社員10人以上、役員は理事3人と監事1人|親族の割合にも条件

NPO法人の人数の条件は、一般社団法人より重く設計されています。特定非営利活動促進法第12条第1項第4号は、認証の基準として、10人以上の社員を有することを求めています。申請時には、社員のうち10人以上の氏名と住所又は居所を記載した書面を出します(第10条第1項第3号)。役員は、理事3人以上と監事1人以上を置きます(第15条)。社員と役員は別の枠で数えるので、社員10人のうち3人が理事を兼ねる形も組めます。
加えて、役員の構成にも条件があります。それぞれの役員について、その配偶者又は三親等以内の親族が1人を超えて含まれてはならず、役員とその配偶者及び三親等以内の親族が役員総数の3分の1を超えてもなりません(第21条)。役員のうち報酬を受ける者は、役員総数の3分の1以下でなければなりません(第2条第2項第1号ロ)。親しい人だけで名簿を埋めようとすると、この条件に引っかかることがあります。

NPO法人の設立が難しくなる場面はNPO法人の設立が難しい場面で、所轄庁と申請の窓口はNPO法人の所轄庁と設立申請で確認できます。人数がそろわないときは、準則主義の法人格との比較が現実的です。
出典特定非営利活動促進法|e-Gov法令検索(デジタル庁 e-Gov・確認日 2026年10月11日)
標本 Ⅵ医療・福祉・学校・宗教・農業の法人格|分野ごとに人数の条件が違う

分野専用の法人格は、人数の条件も法律ごとに定められています。医療法第46条の5第1項は、医療法人に理事3人以上と監事1人以上を置くこととしつつ、都道府県知事の認可を受けた場合は1人又は2人の理事を置けば足りるとしています。社会福祉法第44条第3項は理事6人以上と監事2人以上を、学校法人は私立学校法第18条第3項で理事5人以上、監事2人以上、評議員6人以上(理事の定数を超える数)を、それぞれ定めています。
宗教法人は、宗教法人法第18条第1項で責任役員を3人以上置き、そのうち1人を代表役員とします。農事組合法人は、農業協同組合法第72条の32が、設立に3人以上の農民が発起人となることを必要とすると定めており、組合員が3人未満になって6か月間3人以上にならなければ解散します(第72条の34)。

分野専用の法人格は、人数に加えて事業の許認可や財産の審査が重なります。医療法人の設立要件は医療法人の設立要件、社会福祉法人の役員体制は社会福祉法人の役員体制、学校法人は学校法人の設立認可、宗教法人は宗教法人の設立認証、農業は農事組合法人と会社形態の農業法人で扱っています。
医療法人で理事を1人や2人にできるのは、都道府県知事の認可を受けた場合に限られます。学校法人の評議員は、理事の定数を超える数でなければならないため、理事を増やす計画があるなら評議員の人数も連動して増えます。社会福祉法人の評議員の数も、定款で定めた理事の員数を超える数でなければなりません(第40条第3項)。数字は単独ではなく、他の役職の人数との関係で決まる点に注意してください。
これらの法人格は、設立の方式が認可や認証のため、法人設立の手続きも法人格によって窓口と順番が変わります。人数がそろっても、所轄庁の事前相談は欠かせません。
出典社会福祉法|e-Gov法令検索(デジタル庁 e-Gov・確認日 2026年10月11日)
標本 Ⅶ兼任と数え方|実人数と役職の数は別に記録する

人数の数え方で最も間違いやすいのは、役職の数と別人の数を混同することです。一般社団法人では、理事と社員は兼ねられますが、監事は理事・使用人を兼ねられません。一般財団法人の評議員は、理事・監事・使用人と兼任できません。社会福祉法人の評議員は役員又は職員を兼ねることができず(第40条第2項)、監事は理事又は職員を兼ねることができません(第44条第2項)。医療法人の監事も、理事又は職員を兼ねてはならないとされています(医療法第46条の5第8項)。
名簿は、役職ごとの欄だけでなく、実際に何人の別人が必要かを数える欄も作ると、不足が見つかります。たとえば一般財団法人で評議員3人・理事3人・監事1人が兼任できない場合、最低でも7人の別人が必要です。逆に、一般社団法人の理事と社員のように兼ねられる役職なら、役職の数が実人数を上回ります。

法人が社員や設立者になる場合の数え方、親族の割合の確認方法などは、法人設立の人数をどう数えるかで詳しく扱っています。名簿の作り方は、設立後の役員変更の手続きにもつながるため、決定の根拠を記録に残しておきましょう。
出典一般社団法人及び一般財団法人に関する法律|e-Gov法令検索(デジタル庁 e-Gov・確認日 2026年10月11日)
標本 Ⅷまとめ|最低人数と、続けられる人数を分けて決める

法人設立の人数は、会社なら1人から、一般社団法人は社員2人・理事1人から、一般財団法人は評議員3人・理事3人・監事1人、NPO法人は社員10人と理事3人・監事1人、というように法人格で大きく違います。分野専用の法人格では、さらに理事や評議員の人数が増えます。

- 置く役職と、兼ねられる役職を法人格ごとに確かめる
- 別人として必要な人数を数え、候補者の名前を挙げる
- 欠格事由と親族の割合を確かめる
- 欠員や交代が起きても、人数の下限を割らない体制にする
- 所管の窓口や司法書士・行政書士に、最新の人数の扱いを確認する
この記事の条文は、e-Gov法令検索で2026年10月23日に確認した範囲です。人数の最低ラインは改正されることがあるため、法人設立の手続きに入る前に、所管の窓口で最新の扱いを確認してください。役員になれない人の条件は法人設立 デメリット、法人格のメリットは法人設立 メリット、法人格の一覧は法人設立 種類のページで確認できます。
名簿に名前を書き込める人が足りないと感じたら、それは法人格の選び方を見直すサインです。人数の下限を満たすために無理をするより、いまの仲間で続けられる法人格を選ぶほうが、設立後の運営は安定します。候補を絞れたら、気になる法人格の分類ページを開き、設立の手続きの窓口に持っていく質問を書き出してみてください。
出典一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A(法務省・確認日 2026年10月11日)
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