SPECIMEN LABELNo.067
- 対象の法人格
- 医療法人
- 根拠法
- 医療法 第39条・第41条・第44条〜第46条・第46条の5・第54条等
- 所管
- 主たる事務所の都道府県知事。権限移譲等により市の担当となる場合は所在地の案内を確認
- 設立の方式
- 都道府県知事等の設立認可を経て登記で成立。診療所等の開設は別に確認
医療法人の設立要件|診療所と法人の許認可を分ける

こんな人に向けて書きました
- 個人の診療所を医療法人へ移すことを検討する医師・歯科医師
- 法人設立と開設許可の順序を整理したい事務担当者
- 医療法人の人員や資産の要件を調べ始めた人
医療法人を設立することと、医療機関を開設して診療できることは、同じ一つの許可ではありません。法人設立の認可、設立登記、病院や診療所の開設に関する手続きなどを、それぞれの窓口と前提に沿って進めます。既に個人で診療している場合にも、法人名義へ変えるだけで全てが引き継がれるとは限りません。
2026年10月12日に確認した医療法と行政の案内を基に、医療法人という法人格を得る入口を整理します。施設や地域によって必要な準備が異なるため、全国一律の最低資金や完成日を示す記事ではありません。設立を扱う自治体と、医療機関の開設を扱う保健所等へ、同じ計画を説明できる状態を目指します。
標本 Ⅰ医療法人は、医療法が定める施設を開設する主体

医療法第39条は、病院、医師または歯科医師が常時勤務する診療所、介護老人保健施設、介護医療院を開設しようとする社団または財団を、医療法人とすることができると定めています。医療に関係する商品を販売する会社や、健康情報を発信する団体が、名称だけで医療法人を選べるという意味ではありません。
法人設立を考える場合、最初に自分たちが開設する施設と実施する業務を具体的にします。診療所を運営する計画なのか、介護分野の施設を開設する計画なのかで、事業に必要な設備や人員の確認が変わります。法人格の名称から先に決めるより、医療法の対象となる事業かを確かめることが出発点です。
医療法人には社団と財団の形があり、機関の構成が異なります。社団の場合は社員総会、財団の場合は評議員と評議員会が関わります。いずれも医療法に基づく法人であり、一般社団法人や一般財団法人を設立したことと同じではありません。似た言葉が出てきても、根拠法と法人格を区別してください。
今の診療所の名前を法人名に含めるか、将来複数の施設を運営する計画があるかなども検討します。ただし、事業の拡大構想があっても医療法人で自由にあらゆる商業活動を行えるわけではありません。実施を考えている業務を一覧にして、医療法上の業務範囲に含まれるかを設立相談で確認します。
最初に用意する説明
施設の種類、所在地、管理者、現在の開設者、法人化後に行う業務をまとめます。法人設立と施設運営の二つの話を、一枚の計画から説明できると窓口ごとの確認がしやすくなります。
出典医療法|e-Gov法令検索(デジタル庁 e-Gov・確認日 2026年10月11日)
標本 Ⅱ設立認可・設立登記・開設許可は、それぞれ役割が違う

医療法第44条では、主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可を受けなければ医療法人を設立できないとされています。第46条は設立登記によって法人が成立することを定めています。認可書を受け取ることと、法人格が生じることは別の段階であり、登記までの手続きを予定に含めます。
一方、医療法第7条には病院や、医師等の個人とは異なる主体が診療所を開設する際の許可に関する規定があります。医療法人の設立認可を受けたから、個別施設の開設に関する許可も自動的に終わるという理解は避けます。保健所等の窓口へ、開設者の変更を含めどの手続きが必要か確認してください。
個人診療所を法人化する場合、医師が同じ場所で同じ患者を診るとしても、契約や行政上の主体が変わります。法人設立と診療継続の予定を切り離して進めると、必要な書類や時期が合わなくなるおそれがあります。個人としての施設の扱いと法人としての開設を、事前に一連の計画として説明します。
保険医療機関の指定など、医療法上の開設とは別の制度も関わり得ます。ここでは各申請書の作成方法には踏み込みませんが、法人設立認可だけを終点にしないことが重要です。どの機関の何の判断を待って診療を開始するかを、担当ごとに確認します。

すべてを一つの窓口へ提出すれば完了すると考えず、法人設立の認可窓口、法務局、施設を扱う窓口を明確にします。外部へ依頼する場合も、どこまで依頼の範囲に含まれるかを決め、医療を継続する側の担当者が全体の日程を把握します。
出典医療法|e-Gov法令検索(デジタル庁 e-Gov・確認日 2026年10月11日)
標本 Ⅲ必要な資産は、施設と事業の規模に応じて確認する

医療法第41条は、業務を行うために必要な資産を有することを求めています。医療法施行規則は、開設する施設の業務に必要な施設、設備または資金を有することを定めています。法人設立に必要な資産を、全国の医療法人に共通する一つの金額で表すことはできません。
無床の診療所と入院設備のある病院では、設備や職員、継続して支払う費用が異なります。既存施設を引き継ぐ場合でも、取得する医療機器、賃借する建物、借入れ、未払金などの関係を把握します。法人格を得るための申請に使う財産目録は、単に個人の総資産を一覧にするものではありません。
土地や建物を所有するか借りるか、設備を買い取るかリースを続けるかによって、必要な契約と資金が変わります。第三者や役員から借りる場合は、使用を継続できる根拠や条件を説明できるようにします。法人設立の直前になって所有者の同意が得られないと分かることを防ぐため、権利関係を早めに確認してください。
資産が多く見えても、すぐに事業へ使えないものや、担保・返済などの負担があるものを含む場合があります。財産の価額だけでなく、どの債務と結び付いているかを整理します。法人へ移す資産と個人に残す資産を分け、医療法人の運営を継続できる状態かを確認します。
設立時の資金には、診療収入が入るまでの支払いを支える役割もあります。法人設立に関する公的費用だけを準備しても、給与、賃料、材料費などの運転資金は別に必要です。将来の収入が予定どおりにならない場合も考え、認可基準と実際の資金計画の両方を検討してください。
- 法人へ帰属させる財産と、その使用根拠を確認する。
- 引き継ぐ債務と、債権者等との調整事項を分ける。
- 財産の評価時点と根拠資料を申請先の案内に合わせる。
- 継続支出と入金時期を、事業計画の数字へ反映する。
出典医療法施行規則(厚生労働省・確認日 2026年10月12日)
標本 Ⅳ理事・監事と施設管理者の関係を、人選の前に読む

医療法第46条の5は、役員として理事3人以上、監事1人以上を置くことを原則としています。理事については都道府県知事の認可を受けた場合の例外がありますが、設立者が自分で少人数の特例を選べるわけではありません。法人設立の人員計画は、原則と例外の条件を分けて相談します。
医療法人は開設する施設の管理者を理事に加えることを原則とする規定があります。複数施設の場合などの例外も法に定められているため、施設ごとの管理者と役員の対応を一覧にすると確認しやすくなります。法人格の取得と施設管理の責任を、別々の名簿だけで処理しないことが大切です。
理事長は原則として医師または歯科医師である理事の中から選出し、例外には知事の認可が関わります。事務をよく知る人だから当然に理事長になれる、医師なら自動的に理事長になるという理解は避けます。就任予定者の資格と、法人としての選任手続きを確認します。
監事は当該医療法人の理事や職員を兼ねることができません。施設の経理担当職員をそのまま監事にすれば監査も済むという設計にはできません。業務を行う人と監査をする人を分け、必要な資料が監事へ届く体制を法人設立前から考えます。
法人設立に必要な人の名前がそろっていても、会議へ参加する時間や資料を見る能力が不足すれば運営は難しくなります。役員候補へは就任の条件だけでなく、実際の職務、意思決定の頻度、報酬の扱いを伝えます。医療の専門性と法人運営の責任の両方を担える体制を整えてください。
出典医療法|e-Gov法令検索(デジタル庁 e-Gov・確認日 2026年10月11日)
標本 Ⅴ非営利性は、剰余金の配当と事業範囲から確認する

医療法第54条は、医療法人の剰余金の配当を禁止しています。医療法人という法人格を選んだ後、出資した人へ会社の株式配当のように利益を分けることを当然に予定することはできません。法人設立へ財産を提供する人にも、この前提を説明しておく必要があります。
医療機関の経営では診療収入を得て、人件費や設備費などを支払います。収入があること自体と、剰余金を分配することは別です。役員報酬や賃料などの支出を検討する場合も、実際の業務や契約に対応する合理的な支払いかを確認し、配当を別の名前に置き換えるような運用を避けます。
法人設立を税負担だけで判断すると、配当できないことや財産の出口の制約を見落としやすくなります。役員報酬、借入れ、資産の賃貸などの関係を、税の見通しと法令上の条件の両方から整理してください。医療法人にしたからすべて非課税になるという意味でもありません。
医療法は本来業務のほかに行える業務の範囲を定めています。医療法人の空き資金や人員を使って、関係のない商売を自由に始められると考えないでください。予定する付随的なサービスや別事業についても、法人格に認められた範囲かを事前に確認します。
個人の事業と切り離す
同じ医師が個人の資産を持ち、医療法人の理事長でもある場合、その立場は別です。契約やお金の移動のたびに、誰が所有者で誰が支払う主体かを確かめると、法人設立の意味を運営へ反映できます。
出典医療法|e-Gov法令検索(デジタル庁 e-Gov・確認日 2026年10月11日)
標本 Ⅵ受付日程と資料の基準日は、申請する自治体で確認する

医療法人の設立認可は、申請先の年間予定や事前審査の方法を確認する必要があります。東京都の2026年度案内では、年2回の受付が示され、設立認可の仮申請についてオンライン提出の案内があります。これは東京都の当該年度の運用であり、すべての自治体へそのまま当てはめる数字ではありません。
設立日だけを先に決めてから申請先を調べると、受付期間に間に合わない場合があります。法人設立の計画では、予約、書類案の準備、事前審査、正式な申請、認可、登記の予定を確認します。制度の法定要件を読むことと、実際に受け付ける窓口の最新案内を読むことの両方が必要です。
財産目録や残高を証明する資料などには、申請回に応じた基準日が指定される場合があります。早く集めればよいと古い証明資料を用意しても、申請時に使えるとは限りません。法人格を取得する予定の時期と、各資料をどの日付で揃えるかを対応させて管理してください。
申請を代理人へ依頼する場合にも、施設の計画や資産の状態を説明する本人側の協力は必要です。問い合わせへ回答する人、資料の原本を管理する人、設立の意思決定を行う人を明確にします。専門家へ委託する手続きと、設立者が判断しなければならない事項を分けておきます。

出典医療法人設立等の年間スケジュール(令和8年度)(東京都保健医療局・確認日 2026年10月12日)
標本 Ⅶ個人から法人への引継ぎは、項目ごとに相手を確認する

個人で運営してきた診療所には、建物、設備、雇用、取引、保険診療など多くの関係があります。医療法人の法人設立をしただけで、そのすべてが一斉に移転するわけではありません。埼玉県の設立案内も、登記のほかに開設に関する手続き等が必要になることを示しています。
賃貸借やリース、借入れなどは相手方のある契約です。法人へ移す予定なら、契約条件、同意の要否、新たな契約の時期を確認します。法人格が生じる前には成立後の法人による行為ができない点も踏まえ、事前に何を準備できるかを専門家と整理してください。
患者への案内や取引先への通知では、名称、請求の主体、連絡先などの変更を正確に伝える必要があります。医療の提供が途切れないようにすることと、行政手続きの帳尻を合わせることは別の作業ではなく、同じ計画の中で調整します。法人設立を担当する事務側と診療の現場が、切替えの条件を共有することが大切です。
税務、労務、登記の個別の申請方法はここでは扱いません。重要なのは、引継ぎ対象ごとに相談する相手と必要な判断が異なることです。医療法人の認可担当へ全ての変更が一括して伝わると思わず、自分たちで確認一覧を持ち、完了したものを記録していきます。
切替え前に契約相手へ確認した内容は、口頭の記憶だけでなく書面等の記録として残します。開始日の条件、名義変更に必要な資料、請求の締切りなどが異なると、一つの予定日だけでは管理できません。施設ごと、契約ごとに確認先と未解決事項を置き、医療提供の担当者にも関係する部分を共有してください。
現在の開設者が一人で担っていた判断を法人の機関へ移す際には、従来の習慣も点検します。設備の購入や借入れなどの重要事項について、誰の決定とどの記録が必要になるかを確認し、新しい法人としての運営へ切り替える準備を行います。
設備や契約の一覧を作る過程で、個人の利用分と診療所の利用分が混ざっていることに気付く場合もあります。法人設立を機に、何が医療法人の事業に必要なものかを整理し、金額や負担を説明できる形に整えます。所有、使用、支払いを分けると相談すべき論点が明確になります。
出典医療法人設立認可申請の手引き(埼玉県・確認日 2026年10月12日)
標本 Ⅷまとめ|法人の要件と、医療を始める条件を二本立てで確認

医療法人の法人設立は、医療法に基づく資産と機関の要件を整え、設立認可を受け、登記によって成立する流れです。その先には、開設する病院や診療所などに応じた許可・指定等の確認があります。法人格を得ることと施設を運営できることを区別して準備しましょう。
社団・財団の選択や他の制度との位置づけは、法人格の種類一覧でも確認できます。医療法人を選ぶ場合は、配当の禁止と財産の扱いを理解した上で、必要な人員と資金を確保することが重要です。法人設立の税務面だけを理由に結論を急がないようにします。
具体的な準備では、施設計画、役員、財産、契約、受付日程を同じ予定表へ置きます。所管自治体と保健所等に確認する内容を分け、法人設立後に誰が運営と管理を続けるかまで決めてください。認可申請の書類を整える作業を、診療を継続できる体制を確かめる機会にできます。
現在の診療所について、開設者・管理者・資産の所有者・契約名義を一つずつ書き出してみてください。法人化で変える必要のある部分が見えれば、認可窓口や専門家への相談を具体的に始められます。
出典医療法|e-Gov法令検索(デジタル庁 e-Gov・確認日 2026年10月11日)
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください この記事のテーマと「法人設立」「法人格」「手続き」で検索して見つかったページです。掲載順は優劣を示すものではありません。内容の更新は各サイトが行うため、最新の情報は掲載元でご確認ください。 持分なし法人など制度の考え方を示す通知です。 持分なしへの移行計画認定に関する情報です。 認可申請に用いる様式と作成例です。 東京都のオンライン申請医療法人の電子申請対象と利用方法の案内です。 設立認可申請書の作成・提出の資料です。医療法人制度の通知
同府の設立認可の準備と受付を確認できます。
大阪府の設立申請様式
東京都の診療所開設・移転 法人の定款変更と診療所手続きの関係を説明しています。 東京都の設立申請手順
この記事は参考になりましたか?
読んだ感想を、次の編集の参考にします。


